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料理科学の実験・検証

【検証】3つの部位の牛肉を5時間煮込んでそれぞれの柔らかさを比べた結果

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トロトロの牛肉の煮込みを作るのに最適な部位を知りたい。
そう思って「スネ肉」「モモ肉」「バラ肉」をそれぞれ5時間煮込んでみました。

[目次]
1:11お肉が柔らかくなる理由
2:00モモ肉の仕上がり
2:55バラ肉の仕上がり
3:33スネ肉の仕上がり

牛肉を煮込むと柔らかくなるのはなぜ?

そもそもなぜ牛肉は煮込むと柔らかくなるのか?

それは肉に含まれるコラーゲンが加熱されることで融けるからです。
コラーゲンというと一般的に柔らかいイメージがあるかもしれませんが、実は肉に含まれるコラーゲンは硬い繊維状のものです。コラーゲンは「スジ」や「筋肉の結合組織」「筋繊維を包む膜」など、肉全体に含まれています。

肉は加熱すると約65℃からコラーゲンの収縮が始まり、肉がキュッと縮まって硬くなります。そしてさらに約80℃以上の温度で加熱すると急速にコラーゲンが融けていきます(コラーゲンの軟化)
これが「肉が柔らかくなる」という現象です。

またコラーゲンは水で煮るとゼラチンに変質してプルプルになるので、これも柔らかさに繋がります。(牛スジ煮込みがまさしく体現しています)

牛肉のそれぞれの部位を煮込んだ結果

煮込んだ結果がこちらです。

牛モモ肉を煮込んだ結果

「ホロホロにはなるが、噛むとパサパサで、うまみも感じない」

という結果でした。

モモ肉はコラーゲンが少なく、筋繊維の塊のような部位です。
煮込むことで筋繊維を包んでいるコラーゲンが融けて筋繊維同士はホロホロと崩れます。

しかし筋繊維ひとつひとつはしっかりとした食感があり、中の水分や旨味は煮込まれたことですべて漏出してしまっていました。

またモモ肉は脂身が少ないので、パサつきを脂のジューシーさでフォローすることもできません。

とはいえ、ホロホロにはなります。
パサつきは気になりますが、ソースをかけたり、スープと一緒に食べることで十分に美味しく食べられる気がします。

脂の摂取を控えていたりする方にとっては一つの選択肢になると思います。

逆に、純粋に柔らかいビーフシチューが食べたい方にはおすすめしません。(柔らかいビーフシチューのレシピで検索すると、もも肉を使ったレシピも出てくるので注意してください)

牛バラ肉を煮込んだ結果

「柔らかくて、ジューシー。しかし場所によっては若干の硬さがある。旨味が強い」

という結果でした。

柔らかさは、「トロトロと言えなくもない…」というくらい。

筋繊維はモモ肉よりきめ細かくてジューシーさを感じました。
脂肪を含むからか?筋繊維の中に含まれるコラーゲンの量もバラ肉の方が多いのか?どちらかは不明です。

しかし場所によっては弾力のある硬さを少しだけ感じる場所があったり、肉の境目にあるコラーゲンの膜のようなものがグニグニした独特の食感がある。

このあたりの食感は好みもあると思うが、トロトロとした柔らかさを求める方には少し邪魔になるような感じがしました。

旨味はモモ肉やスネ肉と比べてより強く感じました。

牛スネ肉を煮込んだ結果

「トロトロ、プルプルで柔らかさは1番。筋繊維も1番きめ細かく、ジューシー」

という結果でした。

肉に満遍なく入っている筋部分はゼラチン化してプルプルになり、筋繊維はそのきめ細かさ故かホロホロを通り越して「フワフワ」とした柔らかさでした。

柔らかいビーフシチューを食べたければスネ肉で間違いありません。

それぞれの部位を煮込んだ結果をまとめると

・モモ肉
ホロホロにはなるがパサパサで旨みは少ない。ソースやスープで食べるとパサつきをフォローすればまだ美味しく食べられる。

・バラ肉
柔らかいが、色んな食感が混在している。
トロトロとした柔らかさではスネ肉が勝るが、旨みはバラ肉の方が強いので好みによってスネ肉と使い分けるのもアリ。

・スネ肉
トロトロ、プルプル、フワフワ。柔らかさを求めるなら圧倒的にスネ肉。

という感じです。
牛肉の煮込み料理を作る際は是非参考にしてください。

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